障害者サポートの現状

障害者のサポートには制度によるもの、現場の人によるものがあるが、制度と現場にはズレがあり、障害者の困難を深めている面がある。制度として一例を挙げると、2018年に障害者の法定雇用率が引き上げられたが、達成している企業は全体の半分程度にとどまっている。同年、障害者差別解消法も執行され、企業に障害者への「合理的配慮」を求めている。内閣府は「合理的配慮サーチ」をサイト内で提供しているが、実際どのような配慮を提供できるのかの判断は個々に委ねられている。

身体障害者に降りかかる困難は目に見えるものだけではない。障害者は依然、サポートどころか、差別や偏見に苦しむ人も多く、社会的弱者となっている。発達障害の場合は、一見健常者と変わらないように見え、そのことが、本人の甘えではないか、などという偏見を生んでしまっている。

入社試験、資格試験や入学試験で、公平さを理由に、個々の障害者への対応を断ってしまう事例は事欠かない。障害者枠で企業で働けたとしても、合理的配慮は企業と障害者本人の間での交渉や、企業の理解度に左右され、定着できない事例も多い。また、医療機関においても、自立支援医療制度、障害者手帳の取得、障害年金申請への積極性は幅があり、経済的支援が必要な状況の障害者が、そのような制度すら知らない状態でいることもある。障害者自身が、自分の障害と向き合えない状態の場合もある。そのような場合は福祉の利用に抵抗感を覚えてしまい、サポートを受けずに苦しんでいるのだ。広報やイエローリボンなどで、制度を広く浸透させることが望まれる。